会頭のご挨拶

第70回日本東洋医学会学術総会の開催にあたって

後山 尚久
第70回日本東洋医学会学術総会
会頭  花輪 壽彦
(北里大学東洋医学総合研究所 名誉教授・名誉所長)
 この度の第70回日本東洋医学会学術総会は関東甲信越支部が準備にあたり、東京では第65回に次ぐ開催となります。70回という節目は人生で言えば「古希」にあたり、老成、円熟の時期に入るとともに次世代にどう継承し、時代の要請にどう応えるかが問われる節目になるものと考えます。
 そこで、今回の総会のテーマは「伝統の継承と近未来へのチャレンジ」とさせて頂きました。「伝統の継承」ということは単に過去の模倣・伝承であってはならないと思います。伝統を引き継ぐためには何を矜持し、何に柔軟に対応すべきか。伝統の継承ということについて真摯に考えるべき時期と考えます。またAI時代の到来とよく言われるように、医療分野においても人工知能の能力を学問に取り込む時期に入りました。東洋医学の陰陽理論はゼロイチ思考なので、ある意味ではコンピューター理論に馴染む面があります。しかし「個別医療」はビッグ・データではじき出されたマスデータでは論じられない面があります。
 今回の総会ではこのあたりを充分視野に入れた幅広い議論や啓蒙を意図して準備してまいりました。本テーマのもとに特別講演3演題(「暗黙知と形式知」、「日本の医療の過去・現在・未来」、気の医学である東洋医学を具現化したものとして「合気道の講演と演武」)・教育講演・招待講演・各種シンポジウム(教育・診療の標準化・医史学・鍼灸・生薬・養生など)・各種セミナー、ポスターによる一般演題、市民公開講座などを企画致しました。いくつかのテーマについては会場の参加者と演壇上のシンポジストが「双方向」に議論できるような、スマートフォンの活用を試みたいと考えています。大会中に演題をチェックし、抄録も参照できるアプリで利便性を図る予定です。記念大会なので、華やかさと明日への展望が見えるようなチャレンジングな学術総会にしたいと考えています。

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