ご挨拶

第41回日本造血細胞移植学会総会開催のご挨拶

井上 雅美
第41回日本造血細胞移植学会総会
会長 井上 雅美
(大阪母子医療センター 血液・腫瘍科 主任部長)

 この度、第41回日本造血細胞移植学会総会を大阪で開催させていただくことになりました。小児科医が会長を務めるのは第32回以来ですので、造血細胞移植の課題を網羅的に取り上げながら、小児、思春期・若年成人(AYA世代)における移植に焦点を当てる機会とさせていただきたいと思っております。
 さて、私の上司である河敬世が会長を務めた第25回のテーマは「バリアを超えて」でした。課題として、HLAのバリア、年齢のバリア、人種・国境のバリアが挙げられていました。その後、Post-CYに代表される新たなGVHD予防法の開発とともにHLA半合致移植が特別な移植でなくなりつつあります。強度減弱前処置の導入とともに高齢者も移植を受けられるようになっています。他国のバンクとの協力体制は関係者の努力により充実してまいりました。このように当時の課題であったバリアは克服されつつありますので、今更ながら移植医療の進歩を実感させられております。
 一方、長期生存者の増加とともに晩期合併症が取り組むべき課題のひとつとなっており、長期フォローアップのためのツールとして「造血細胞移植患者手帳」の運用が開始されました。また、患者・家族と移植に関わる多職種・他部門との調整を行う職種としてHCTCの活動が本格化しております。
 多職種・他部門によるチーム医療が充実し、移植を行う環境・制度が整備されつつある今日、現状に満足することなく、移植医療の進歩を支えてきた科学する心を忘れずに、さらに前進することを旨として、今回のテーマを「Moving Forward with a Scientific Mind」と致しました。
 移植医療に志を抱く仲間とともに最新の知見に触れ、意見交換・議論を存分に楽しんで頂きたいと願っております。大阪は食い倒れの街です。過熱した頭を冷やすためには、キタ、ミナミに出かけて存分に大阪の食を堪能することも一興でしょう。皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。

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