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ご挨拶

第89回日本産業衛生学会企画運営委員長
日本産業衛生学会東北地方会長
福島県立医科大学医学部 衛生学・予防医学講座教授
福島 哲仁

第89回日本産業衛生学会を開催するにあたり一言ご挨拶申し上げます。日本産業衛生学会理事会において、2016年度の学会を東北地方会でお引き受けすることが決定し、同地方会において、私が企画運営委員長に選出されました。皆様のご期待に沿えるよう地方会の皆様と協力して学会の企画・運営にあたりたいと考えております。

現在の産業界は様々な課題を抱えております。長年続いた我が国の経済の停滞は、非正規雇用者の増大を招き、労働条件の悪化が生じています。急速な少子化の進行や若者の働き方の変化を背景に、中小企業や福祉介護といった分野での人手不足は深刻となり、高い求人倍率の中での労働条件悪化という矛盾した現象が生じています。一方で産業界のグローバル化はますます顕著となり、海外の市場と全く無縁の企業は、中小企業といえどもおそらくないものと思われます。そのような中で、産業衛生学という学問の果たす役割も大きく変化してきていると感じています。

2011年の大震災から4年が過ぎましたが、東北地方の復興はまだまだ途上にあり、復興に関係する様々な業種において多くの産業衛生上の問題が指摘されております。福島県におきましては、事故を起こした原子力発電所の復旧作業に6000人以上が日々従事し、除染作業には1万人とも2万人ともいわれる人々が関わっております。人手不足の中、期限に追われながら危険な作業に従事することによる労働災害の発生も危惧されている所です。他方、大震災以降、東北地方では復興を契機に新たな産業が次々と生み出され、集積化も進んでおります。

このような時代背景の中、2016年5月24日から27日にかけて福島市において、第89回日本産業衛生学会を開催することになりました。テーマは、「次世代につなぐ産業衛生学の研究と実践」としました。今日的な産業衛生の課題を取り上げつつ、未来に向けてどのような産業衛生学の研究と実践を引き継いでいくのか、震災を経験した東北地方だからこそ未来に向けて発信できる学会にしたいと考えております。

福島県には、日本三大桜のひとつに数えられている滝桜で有名な三春町があります。春が短い東北地方では、梅と桜と桃が一度に咲くというので、三春、つまり三つの春が同時にやってくると言います。今年も東北各県はどこも多くの花見客でにぎわいました。皆様にお越しいただく五月下旬は、花が終わって新緑の美しい時期と思います。多くの皆様に福島県にお越しいただき、未来志向の学会での研究交流と、美しい自然や歴史文化に触れて日頃の疲れを癒し、そして東北地方の復興の現状も直にご覧いただければと考えております。皆様のお越しを心からお待ち申し上げております。

2015年6月1日