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市民公開講座のご案内

開催日

2021年8月15日(日)14:30〜16:30

開催形式

ライブ配信
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市民公開講座

東洋医学からみた健康法

司会池野 由佳先生(いけの医院)
第1部
テーマ 「漢方による風邪対策」
講演内容・演者略歴

「風邪は万病のもと」と言われるように、軽い感冒でも高齢者や基礎疾患を持つ人にとっては重大な合併症を引き起こすことがあります。風邪の原因の約9割はウイルスと言われています。ウイルスは細菌と異なり抗生物質が効かないため、タミフルなどの抗インフルエンザ薬で治療できるインフルエンザウイルス以外では、風邪ウイルスに対する治療はほとんどが対症療法になります。2019年から世界中に猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症に対しての治療は各国で研究され有効性が検討されています。重症化した入院患者に対する治療薬はある程度検討が進んでいますが、感染者の約8割を占める軽症者に対する治療薬に関しては明確な有効性を示す治療薬は現段階でまだ認められていません。変異型ウイルスにより重症化する方の割合も増えてきていますが、入院が必要になるまでは対症療法と自分の免疫力でウイルスに対抗するしかない現状です。

漢方薬は古来より感染症に対して使われてきました。漢方医学は中国の伝統医学を源流として日本で独自に発展したものであり、約1500年にわたる臨床使用経験の蓄積があります。感染症による死亡が多数を占めてきた時代からの医学であるため、特に感冒の治療に使用される薬剤は非常に多岐にわたります。

一口に感冒と言っても、頭痛・寒気・発熱などの風邪の初期、インフルエンザ、急性胃腸炎、急性気管支炎、感染後に長引く咳や倦怠感など様々な症状や重症度があり、それらに対する漢方薬は、患者さんの症状や体質により使い分けが必要です。例えば風邪の初期に用いられる漢方薬には葛根湯、桂枝湯などがあります。インフルエンザには麻黄湯、高熱・強い咳嗽など炎症症状が強い場合は麻杏甘石湯や越婢加朮湯などを併用することもあります。すっきり治らず長引いている風邪に用いられるのは小柴胡湯が代表的です。また回復期やもともと免疫力が低下していて風邪を引きやすい方には補中益気湯や十全大補湯・人参養栄湯などの効果が期待できます。風邪に対する漢方薬の使い分けは複雑で、漢方を専門にしていても難しいことがあります。

近年の研究では、ウイルス感染に対する漢方薬にはウイルスの増殖を抑え、自己の免疫力を高め、炎症を抑制して症状を緩和する作用があると報告されています。それらの研究成果を紹介しながら風邪に対する漢方薬の使い分けや、今後の健康管理に使える漢方薬についてまとめたいと思います。

● 略歴
  • 1997年 秋田大学医学部卒業
  • 2004年 東北大学大学院医学系研究科 呼吸器病態学分野修了(医学博士)
    東北大学病院 老年・呼吸器内科
  • 2009年 東北大学病院 婦人科
  • 2015年 東北大学病院 総合地域医療教育支援部・漢方内科
  • 2016年 東北大学大学院医学系研究科 漢方・統合医療学寄附講座 助教
  • 2019年 東北大学大学院医学系研究科 漢方・統合医療学共同研究講座 講師
時間 14:30~15:30
演者 菊地 章子先生
(東北大学大学院医学系研究科漢方・統合医療学共同研究講座)
第2部
テーマ 「太極拳の理論と実践〜統合医療の一環として〜」
太極拳をオンラインで体験できます!!
講演内容・演者略歴

日々漢方を用いた外来診療をおこなっていると気づかされることがあります。症状改善に伴い薬を減量あるいは中止できる患者さんは多くの場合において、運動・食事などの生活習慣の改善に成功した方々だということです。

厚生労働省は健康づくり対策を1978年から打ち出し、運動習慣をもつ国民を増加させようとさまざまな施策がなされていますが、運動習慣をもつ人は必ずしも増えていないと評価されています。我々の外来でも「適度に運動をしましょうね」という声掛けをするだけでは、なかなか継続的な運動習慣の形成にはつながりません。体力や趣味、さらには生活スタイルを考慮して一人一人に合わせて適切な運動を提案する必要があります。今回の市民公開講座は、太極拳についての学術的背景の理解の上に、実践していただくことで、皆様方の運動習慣づくり、ひいては健康づくりに役立つことを目的としています。

太極拳は明代末期の武将・陳王廷(1600年頃~1680年頃)が、各流派の拳法や導引や吐納とよばれる呼吸法を研究して創出したとされています。時代を経て日本にも伝わり、1972年の日中国交回復のころから徐々に広まってきたようです。太極拳には競技スポーツや文字通り拳法としての側面もありますが、本講座では健康法あるいは運動療法としての太極拳をご紹介いたします。

国内外において、太極拳の生体に与える影響を調べた研究は数多くあります。福島県立医科大学医学部公衆衛生学講座では坐位でも取り組めるような「太極拳ゆったり体操」を考案し、体操教室参加者は要介護と認定される割合が低くなったと報告しています。また、米国においては統合医療としての太極拳について、国が研究費を出して研究を進めています。太極拳の練習によって、パーキンソン病患者のバランス、変形性膝関節症患者の慢性痛、線維筋痛症患者の疼痛および睡眠障害を改善することができたとの研究結果が報告されています。効果の上がるメカニズムについても、内分泌機能、自律神経機能などが変化するという研究報告があります。

太極拳の実践においては、意識・呼吸・動作を調和させることが重視され、それぞれ調心・調息・調身と呼ばれています。調心は「頭を空っぽにすること」と理解されがちですが、精神を集中させ全身の感覚を研ぎ澄ますというイメージの方が適切です。調息は動作に合わせて深く長い呼吸をすること。調身は姿勢を正しくして四肢体幹の筋肉の緊張・弛緩を適切に切り替えることです。

実技は、基本練習としての、両腕垂直回し、スワイショウ、タントウ功(立禅とも呼ばれます)、歩法(弓歩・馬歩など)、雲手などを予定していますが、当日の会場および参加者の状況に合わせて適宜選択します。歩幅を大きくとるなどの動作もありますが、体力に応じて坐位のままでも参加できるように工夫してまいります。

● 略歴
北海道釧路市生まれ。早稲田大学でアイスホッケーに打ち込んでいた時期に悩まされた腰痛が鍼灸治療で軽快した経験を踏まえて、1986年から中国北京体育大学に入学し中国武術を専攻。1990年帰国、東京大学大学院で気功の研究により教育学修士を修め、民間企業研究員などを経て医師を志し、2008年日本医科大学医学部卒業。東邦大学医療センター大森病院における研修の後、2010年から宮城県に移住。2014年東北大学から医学博士号授与。東北大学医学部助教を経て、現在国立病院機構米沢病院で内科医長を務める。さらに東北大学病院でも診療(漢方・総合診療)・教育・研究に当たるほか、2012年からは東邦大学医学部でも太極拳講義を担当している。
時間 15:30~16:30
演者 沼田 健裕先生
(独立行政法人 国立病院機構 米沢病院)

主催者

一般社団法人日本東洋医学会、日本漢方生薬製剤協会

お問い合せ先

第71回日本東洋医学会学術総会 運営事務局
株式会社JTBコミュニケーションデザイン
事業共創部 コンベンション第二事業局内
〒541-0056 大阪市中央区久太郎町2-1-25 JTBビル7階
TEL: 06-4964-8869 FAX: 06-4964-8804
E-mail: 71jsom@jtbcom.co.jp
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