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会頭のご挨拶

三潴 忠道

第71回日本東洋医学会学術総会の開催にあたって

紡ぎから織りへ -漢方を活かした医療体系の構築-
第71回日本東洋医学会学術総会
会頭  三潴 忠道
福島県立医科大学 会津医療センター 漢方医学講座 教授
 この度、第71回日本東洋医学会学術総会を令和3年8月13日(金)から15日(日)までの会期で、「Web配信(ライブ配信およびオンデマンド配信)」にて開催させていただくことになりました。新型コロナウイルス感染拡大に伴い、会期を1年繰り延べ、「会場での集合形式の開催」ではなくWeb配信での開催となりますが、内容は当初の企画に沿って実施させていただきます。ご迷惑をおかけいたしますが、ご了解いただきますようお願い申し上げます。
 総会テーマは「紡ぎから織りへ-漢方を活かした医療体系の構築-」です。我が国の伝統医学である漢方医学は、湯液と鍼灸を中心に、先人のたゆまぬ努力により発展し、受け継がれてまいりました。今後は、分析的西洋科学に裏付けられた現代医学と、臨床を基礎とした漢方医学、その異なる基盤を有する両者が織り成す新たな医療体系を構築し、国民の健康に役立てることが我々に与えられた一つの重要な使命かと考えます。
 翻って漢方医学の現状を顧みると、臨床医の80%以上が漢方薬を処方しているといわれ、国家的機関も多数かかわる「国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョン研究会」からは漢方の必要性と今後の指針も提言されています。しかしながら、医学教育モデル・コア・カリキュラムに「和漢薬を概説できる」との到達目標が掲げられて20年余が経過した今なお、医学部における漢方医学教育はとても十分とは申せません。
 漢方を活かした医療体系を構築するためには、多くの医療人が漢方への共通した理解と基礎知識をもつことが必要です。そこで第71回総会のプログラムでは、漢方医学教育を主軸としております。全国82医学部の漢方教育担当教員による「日本漢方医学教育協議会」で検討された講義と評価の実際、参加型講義や共通テスト、アクティブラーニング、実技実習のデモンストレーション、OSCE(客観的臨床能力試験)などを企画し、これらに学生が一部リモート参加する形で実施予定です。また、湯液診療の基盤にかかわる生薬原料問題については、国内生産現場の声を反映したシンポジウムを開催するとともに、東北各県における生薬栽培への取り組みや課題をWeb展示する予定です。
 招待講演は東北大学大学院医学系研究科病理病態学講座微生物学分野のウイルス学者で、新型コロナウイルス感染のクラスター対策班長としてご尽力されている押谷仁教授をお招きし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の現状と課題をご講演いただきます。東北大学病院 総合地域医療教育支援部の石井正教授には災害に関する特別講演をお願いしています。なお、新たに緊急シンポジウム「新型コロナウイルス感染症に対する東洋医学の挑戦」を企画するなど、直近の課題に関した内容を準備しております。
 学会設立70周年という記念すべき年の本総会予定でしたが、会期や開催方法などの変更を余儀なくされました。しかし、当日の現地参加が困難な方にもご参加いただきやすくなるなど、新しい時代の学術総会の在り方へ一石を投じる機会となる可能性もあります。東北支部主管では13年ぶりの開催に向け、中永士師明・副会頭(秋田)、中村東一郎・準備委員長(山形)、髙山真・副準備委員長(宮城)をはじめ東北支部全県一丸となり、開催準備に当たらせていただきます。会場で直接お会いできず残念ですが、新たな方法により、多くの方々による熱心なご討議が繰り広げられますよう、心からお待ち申し上げます。
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