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第63回日本小児股関節研究会第63回日本小児股関節研究会

第63回日本小児股関節研究会

会長挨拶Greetings

稲葉 裕

第63回日本小児股関節研究会
会長  稲葉 裕
(横浜市立大学医学部整形外科学教室 教授)

この度、第63回日本小児股関節研究会 を2024年6月6日(木)~7日(金)の2日間、横浜市のホテルニューグランドにて開催する運びとなりました。本研究会は60年以上の歴史を持つ研究会であり、伝統ある本研究会を運営する機会をいただきましたことを光栄に存じます。

 股関節は、日常生活を行う上で非常に大切な荷重関節であり、その機能が損なわれると大きな障害が生じます。特に小児では、成人以降に障害を残さないように治療することが重要であり、本研究会は小児股関節疾患の治療成績の向上を目指して開催されております。代表的な小児股関節疾患である発育性股関節形成不全症は、1970年以前は5%以上の発生率で大きな問題となっておりましたが、1970年代の予防活動により、現在では0.1~0.3%前後まで激減しました。この予防活動や、治療法の発展に大きく貢献したのが本研究会であり、大きな役割を担ってきました。現在、わが国では少子化により小児股関節疾患は少なくなってきておりますが、発育性股関節形成不全症以外にもペルテス病、大腿骨頭すべり症、麻痺性股関節脱臼など治療に難渋するものが多く、課題が多く残されております。本研究会では、小児股関節疾患の現在の課題について議論し、今後の治療成績の向上を目指したいと考えます。本研究会が小児股関節分野の更なる発展の一助となることを目指して開催させていただく所存です。

 今回の研究会のテーマは、「小児股関節の魅力:銷魂と挑戦」としました。「銷魂(しょうこん)」とは、辞書やインターネットでその意味を調べると、「驚きや悲しみのあまり、気力を失うこと」「我を忘れて物事にふけること」という内容になります。私は卒後6年目より小児整形外科に関わっておりますが、その頃より小児股関節に魅せられてきました。小児股関節疾患の治療では予想した結果にならないことも多く、そのような時には自分の無力さを痛感し、もっと良い方法や技術の向上を模索して、挑戦し続けてきております。その結果、現在ではナビゲーションや3次元モデルなどのコンピュータ支援技術を使用するようになっておりますが、まだまだ課題はあります。まさに「銷魂と挑戦」を繰り返しておりますが、挑戦をし続けることで新しい未来が開けると思います。本研究会では、ぜひ皆さまの「銷魂と挑戦」について熱く語り合っていただきたいと思います。

 2020年から新型コロナウィルス感染症により多くの学会活動が制限されてきましたが、2023年5月からは新型コロナウィルス感染症が5類相当となり、学会も対面で行われることが主流となっております。まだ予断は許しませんが、今回は現地開催で多くの先生方に横浜にお集まりいただき、討論と懇親を行いたいと思います。有意義で参加して良かったと思える会にするべく精一杯準備させていただきます。皆さまを横浜にお迎えできるのを楽しみにしております。

2023年6月吉日