ご挨拶

会長 小川 智弘
第46回日本静脈学会総会
会長小川 智弘
福島第一病院 院長/心臓血管外科部長

このたび、第46回日本静脈学会総会を開催させていただくにあたり、一言ご挨拶申し上げます。

福島での本総会の開催は、1995年に福島市で開催された第22回総会以来、実に31年ぶりとなります。当時の大会長は、私の恩師であり、前日本静脈学会理事長でもあった星野俊一先生であり、こうして再び福島の地で開催できることを大変光栄に思っております。 今回の大会テーマは「革新と持続可能性」といたしました。

この15年間で、わが国の静脈学は大きな進展を遂げました。特に、下肢静脈瘤に対する血管内治療の確立は重要な転換点でした。そして近年では、急性深部静脈血栓症に対するカテーテル機械的吸引血栓除去術や、腸骨静脈閉塞に対する静脈ステント留置術が保険適用となり、深部静脈疾患の治療も新たな局面を迎えております。さらに、AIなどの先進技術の医療応用が進むことで、静脈疾患の診療にも革新がもたらされつつあります。

一方で、昨今の物価高騰や医療資材費の増加など、診療環境を取り巻く情勢は厳しさを増しています。限られた資源の中で効率的かつ持続可能な医療提供体制を築くことが求められており、国民皆保険制度のもとで、安定的な静脈疾患診療の継続が一層重要となっております。

本総会では、こうした臨床と制度、研究と日常診療の両輪における課題を広く議論し、未来に向けた指針をともに見出していければと願っております。 また、福島は東日本大震災から15年を迎えましたが、原子力発電所事故からの復興はいまだ道半ばです。その間にも全国各地で自然災害が相次いでおり、日本静脈学会の災害対策委員会では、継続的な活動が行われています。これらの取り組みにも注目いただければ幸いです。

さらに、前理事長・岩井武尚先生のご尽力により、今回の総会期間中には**アジア静脈フォーラム(Asian Venous Forum)**も同時開催される運びとなりました。国際的な交流の場としても、充実した機会を提供できることを嬉しく思っております。

開催時期である7月初旬の福島は例年、梅雨の時期にあたりますが、会場は福島駅から徒歩3分圏内とアクセスが良好であり、快適にご参加いただけるものと存じます。

多くの医師、医療従事者、コメディカルの皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております