会長挨拶
第42回日本眼腫瘍学会
会長 加瀬 諭
(北海道大学病院眼科)
このたび第42回日本眼腫瘍学会を、札幌市の北海道大学学友会館「フラテ」において開催させていただきます。このような機会を与えていただきました日本眼腫瘍学会の理事長の鈴木 茂伸先生、併せて理事の先生方に厚く御礼申し上げます。眼腫瘍は一般眼科医にとってはマイナーな分野と思われがちで、日本眼科学会総会などの全国学会においても、眼腫瘍のセッションでは空席が目立つことも珍しいことではありません。しかし、眼腫瘍は眼表面から眼内、ひいては眼周囲や眼窩にも発生するため、その疾患理解は究極のサブスペシャリティ一といえます。正常な眼組織は言うまでもなく美しいものですが、眼腫瘍も詳細に観察すると、実に興味深い所見を呈します。加えて、同じ腫瘍であっても症例によってさまざまな外観を呈するため、炎症や変性疾患とも誤診されます。個人的には眼科学を極めるには、眼腫瘍にも精通することが不可避と考えております。日本眼腫瘍学会では毎年、さまざまな腫瘍とその類縁疾患の報告があり、自身の経験のない症例をも追体験することができる貴重な学会です。
本学会の特徴は、何といっても「熱い」討論であります。この「熱い」は討論に際し単に体液(汗・唾液)を飛散させる「熱心さ」というだけでなく、「(内容・中身の)厚い」討論でもあるのが特徴です。そのため、一般講演や症例報告を通じ、大規模な研究のみならず1症例をとことん追求するのも本学会の醍醐味です。本学会のテーマを「眼腫瘍のフロントライン(最前線)」とさせていただきました。これは、少なくとも2つの到達目標を暗に意味しております。一つ目は、臨床の最前線で眼腫瘍とその関連疾患について患者と向き合い、疾患の駆逐のために奔走する経験豊富な眼科医の最新の診断・治療法を習得することです。もう一つは、眼腫瘍学の最前線について精力的な研究成果を公表する眼科医と情報を共有し、知識を整理しアップデートさせることです。本学会の表紙として、中央に脈絡膜悪性黒色腫のフルオレセイン蛍光眼底造影所見を示し、この悪性腫瘍に対して免疫細胞が戦うことをイメージしております。まさに臨床医学・基礎医学的なフロントラインを示唆した表紙になっているのではないかと推測します。
本学会で、参加者の交流が緊密になされると共に、眼腫瘍の醍醐味を感じていただけたら、主催者としてこの上ない喜びです。