第41回日本眼腫瘍学会
会長 後藤 浩
(東京医科大学臨床医学系眼科学分野)
2024年の第41回日本眼腫瘍学会を主催させていただくことになりました。2008年の第26回研究会を開催させていただいて以来、16年ぶりの担当となりますが、2度目の主催をお許しいただいた学会理事の諸先生方に御礼申し上げます。
学会のテーマは「マイナーの矜恃」とさせていただきました。「矜恃」とは広辞苑を開くと、「誇り」「自負」「プライド」と書いてあります。眼科はいわゆるマイナー診療科です。我々はそう思っていなくても、他の医療関係者はそのように見ています。また、我々に自覚はなくても網膜硝子体や緑内障等を専門とする眼科医は、眼腫瘍を間違いなくマイナー領域と認識しています。実際、幸か不幸か眼腫瘍は症例数も限られ、その診療に当たる専門医の数は多くありませんし、多くを必要としていないかもしれません。しかし、ごく限られた眼科医が孤軍奮闘しながら多くの眼腫瘍を診断し、治療していることは事実ですし、それを誇りに膨大な時間を捧げてきた先輩や仲間の存在を自分は知っています。
個人的な話となりますが、本学会には1992年の第10回眼腫瘍研究会(箕田健生学会長)の時に恐る恐る症例報告の演題を出して以来、30年以上継続して参加させていただいてまいりました。これはちょっとした誇りです。眼腫瘍について何の知識も経験もなければ、周りに指導医もいない中、本研究会・学会で多くのことを学ばせていただいたことは何事にも変えがたい経験となりました。ただし、学会に参加し続けたからといって眼腫瘍を正しく診断、治療できるようになるわけではありませんし、矜恃だけで患者さんを治癒に導くことはできません。実際、学外の先生方とは本学会を通じて、学内では様々な診療科の先生方の多大な御指導と御支援があってこそ、眼腫瘍の診療を続けることが出来たことも紛れもない事実であり、感謝の言葉しか浮かびません。
ご存じのように本学会は日中の会場での質疑応答はもちろんのこと、日が暮れた後の議論も尽きず、朝は毎回のように寝不足のまま学会場入りを果たし続けてきたことも小さな誇りです。体力、気力も鍛えてくれる本学会の良き伝統が今後も末永く続き、眼腫瘍の診療に自負を持っていただく仲間が今後も増えていくことを切に願っております。
2024年の初秋、再度、西新宿の地で皆様とともに眼腫瘍について語り明かす日を楽しみにしています。
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