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実地研修会 日程:5月13日(水) 特別研修会 日程:5月17日(日)

ご挨拶

吉田 貴彦
第93回日本産業衛生学会
企画運営委員長 吉田 貴彦
(旭川医科大学医学部社会医学講座 教授)

 この度、第93回日本産業衛生学会を、2020年5月13日(水)から16日(土)にかけて、旭川市市民文化会館およびアートホテル旭川にて開催することとなりました。第93回学会は日本産業衛生学会北海道地方会が企画運営する事となり、北海道地方会長でもあります私、旭川医科大学医学部社会医学講座の吉田貴彦が企画運営委員長を務める事となりました。ここに、一言御挨拶を述べさせていただきます。
 今回の開催地である北海道は、開拓時代から農林水産業の食糧供給の場を担ったとともに、炭鉱や鉱山などの資源供給にかかわる産業が盛んで、炭鉱・鉱山労働者の健康を守る産業保健が主流であった時代もありますが、今や過去の産業となりながらも塵肺などで苦しむ方々が多いのも事実です。一方、農林水産業は現在でも代表的産業でありながら産業保健活動のかかわりは低いのではないでしょうか。
 また、現代の課題として、様々な「物」がインターネットを介して接続され情報交換(通信)することで相互に制御する仕組み(Internet of Things, IoT)の普及と人工知能(artificial intelligence、AI)とそれを搭載した人型ロボット(android)の実用化がもたらすであろう「人類文明の大変革」と言われる第四次産業革命が進行しつつあります。本来、機械化の導入など作業による労働者の負担を軽減する対策は、健康障害の防止策として産業保健活動に携わる我々が取り組むべき課題です。同じ趣旨を持つ技術革新が、身体的に負担の大きい作業を自働化するなどして減らすばかりでなく、精神的な作業もAIにとって替わられる事が想定され、人々の働き方に大きな変革をもたらすことは疑いがありません。多大な社会変革が起こり雇用への影響と労働の変質が起こる事は必至であると思えます。産業界と経済界では議論が進んでいますが、産業保健を担う我々の対応はどうでありましょうか。
 そこで、第93回の日本産業衛生学会では、労働の起源に近い食料・資源供給産業を担って来た北海道において産業衛生の原点にたち、将来に起こるであろうAIとIoTの高度発展がもたらす労働の量的・質的変化と、それに連動する健康影響について考える機会とすることをテーマに掲げさせていただきました。多くの皆様の参加をいただきまして、共に考える事ができれば幸いです。
 北海道の5月は、半年間の雪に閉ざされた北国に春が一気に訪れます。街中や野原では春を待ち焦がれた花々が一斉に咲き競いながら、遠くには残雪に覆われた峰々を眺めることができる、心が躍る季節です。北海道ならではの美味しい食材も揃い始めます。北海道の華やかな季節と食をも、お楽しみいただければと思います。皆様の、ご参加をお待ちしております。

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