第35回日本医療薬学会年会 The 35th Annual Meeting of the Japanese Society of Pharmaceutical Health Care and Sciences

会長挨拶

第35回日本医療薬学会年会
年会長 矢野 育子
(神戸大学医学部附属病院 教授・薬剤部長)

第35回日本医療薬学会年会開催にあたって
医療薬学の深化と広がり-患者アウトカムの改善を目指して-

ご挨拶

 この度、第35回日本医療薬学会年会を2025年11月22日(土)〜24日(月・祝)の3日間、神戸国際展示場ならびに神戸国際会議場、神戸ポートピアホテルにおいて開催する運びとなりました。
 2024年度から新しい薬学教育モデル・コア・カリキュラムに基づく6年制教育が開始されています。新モデル・コア・カリキュラムでは、「D 医療薬学」を構成する学問領域である薬理学、薬物治療学、医薬品情報学、薬物動態学、薬剤学、調剤学に関する知識を統合しながら、「F 臨床薬学」において、チーム医療の一員として薬剤師が個別最適化した薬物療法を実践する臨床教育が行われます。すなわち、臨床で活躍する薬剤師の科学的基盤となる学問領域が「医療薬学」であり「臨床薬学」です。時代を遡れば、「医療薬学 初版」(廣川書店、1990年)のなかで、『医療薬学における研究展開として、臨床の問題を基礎から解明し、これをまた、臨床にフィードバックしつつ、らせん階段のように円を描きながらも、次第に学問を高めていく展開形式が大事』とされています。医療薬学は、医療や時代の変化に合わせて柔軟に進歩、発展し続けています。そこで、本年会のテーマを「医療薬学の深化と広がり-患者アウトカムの改善を目指して-」と設定しました。
 日本医療薬学会の設立趣旨は、「医薬品を安心して使用し有用性を最大限に引き出すには、医薬品適正使用のための良質のエビデンスを構築し、薬の専門家である薬剤師が他の医療職種や関係者と連携しながら科学的根拠に基づいて薬物療法を実践する」です。本年会では、患者アウトカムの改善を目指して、深化と広がりがみられる医療薬学について討論する機会として、種々のプログラムを組んでいく所存です。「薬剤師が変わると医療が変わる」と言われるような、未来に繋がる新しい取り組みや研究の発表の場としていただければ幸いです。
 医療に従事する薬剤師、薬学研究者、薬学教育者、薬学生はもちろん、医薬品、医療・薬科機器、医療情報等に関わる多くの方々にご参画いただき、本年会に参加されるすべての皆様方にとって、実りある意見交換の場となりますことを心より願っております。