第31回 日本ヘリコバクター学会学術集会 in淡路島 The 31st Annual Meeting of The Japanese Society for Helicobacter Research

プログラム

特別講演

特別講演 1

司会
奥田 真珠美
(兵庫医科大学 小児科学)
除菌後胃癌の発生メカニズムに迫る
Causes of gastric cancer after eradication of Helicobacter pylori
演者
菅野 健太郎
(自治医科大学)

特別講演 2

司会
永原 章仁
(順天堂大学)
胃がんの一次予防と二次予防
演者
加藤 元嗣
(北海道対がん協会)

理事長講演

司会
佐藤 貴一
(とちぎ健診プラザ)
日本ヘリコバクター学会の現状と未来
Current situation and future of Japanese Society of Helicobacter Research
演者
村上 和成
(大分大学消化器内科)

海外招待講演

司会
山岡 吉生
(大分大学医学部環境・予防医学講座)
Epidemiology of H. pylori infection and gastric pre-neoplastic conditions
演者
Leung Wai-Keung
(Department of Medicine, School of Clinical Medicine, The University of Hong Kong)

学術集会最優秀賞受賞講演

15歳を対象としたピロリ菌感染“test and treat”による胃がん罹患リスク減少率の検討
Risk reduction of gastric cancer by "test and treat" for H. pylori infection in adolescent
演者
川合 紗世
(愛知医科大学医学部公衆衛生学講座)

学術賞受賞講演

Helicobacter pylori 除菌治療の最適化と新規レジメン開発のための臨床研究
Clinical research for optimizing Helicobacter pylori eradication therapy and developing new regimens
演者
須江 聡一郎
(横浜市立大学大学院医学研究科 消化器内科学教室)

認定医教育講演(更新)

司会
河合 隆
(東京医科大学消化器内視鏡学)
血清抗体を用いたH. pylori 感染診断 注意すべきポイント
Diagnosis of H. pylori infection using serum antibodies: Important points to note
演者
伊藤 公訓
(広島大学病院 総合内科・総合診療科)
H. pylori 感染症関連胃がん死撲滅に挑む
Challenge for elimination of H. pylori infection-related gastric cancer deaths
杉本 光繁
(大分大学 グローカル感染症研究センター)

認定医教育講演(新規)

司会
鈴木 秀和
(東海大学医学部内科学系消化器内科学)
Helicobacter pylori の基礎
演者
灘谷 祐二
(大阪公立大学 先端予防医療学/消化器内科学)
ヘリコバクター・ピロリ感染の診断(核酸増幅法)に関する取扱い
Management of Helicobacter pylori Infection Diagnosis (PCR)
渡邊 嘉行
(医療法人社団 和光会 総合川崎臨港病院)
Helicobacter pylori 感染症の治療
Treatment of Helicobacter pylori infection
森  英毅
(慶應義塾大学医学部内科学教室(消化器))

シンポジウム

司会のことば

現在、胃がん検診は従来からのX線検診に加えて、内視鏡検診が広く普及しつつある。一方、胃がんの主たる原因であるH. pylori 感染に関しては、感染率の低下や除菌治療の普及に伴い、検診対象者の大半がH. pylori 陰性者 (未感染および既感染)となっている。我が国の胃がん死亡数は昭和の後半から長い間、毎年5万人前後で推移していたが、2013年ころから徐々に減少してきており、2023年にはついに4万人をきった。内視鏡検診の広がりにより、早期で診断される例が増え、内視鏡治療で治癒されていることが大きな要因とも考えられる。このペースで胃がん死亡率が減少していけば、10数年後には検診の対象でなくなる可能性も高い。今後のH. pylori低感染時代は、画一的な胃がん検診ではなくH. pylori 感染状態や胃がんリスクに応じた効率の良い検診方式の再構築が必要と考えられる。血液検体などでの多層オミックス情報やメタゲノミクス情報を集約した新たな胃がん診断系の確立も必要かもしれない。さらに、H. pylori除菌後に発見される浸潤がんの問題も急務である。さらに、人工知能 (AI)の登場に伴い、近い将来内視鏡AIが胃がん検診の場でどのように関わり、どのような貢献をもたらすのかも興味深いし、内視鏡以外にもAIが応用されて検診に応用される可能性もあるだろう。 本シンポジウムでは、現在取り組まれているH. pylori 感染状態や胃がんリスク(胃がんリスク層別化検査など)に応じた検診システム、除菌後浸潤がんを見据えた検診システム、胃がん検診における内視鏡AIやオミックス・メタゲノミクス情報を駆使したAIでリスク評価する新たな分子医学的検診系の開発の将来展望などを徹底的に討論したい。興味深い斬新なアイデアでの演題応募を期待している。

胃がん検診の現況と将来展望
司会
鈴木 秀和
(東海大学医学部内科学系消化器内科学)
鎌田 智有
(川崎医科大学健康管理学)

パネルディスカッション

パネルディスカッション

司会のことば

H. pylori感染率が低下し、自己免疫性胃炎(AIG)が発見される機会が増えてきている。AIGの発症にはH. pylori感染が関与した場合とない場合があるとされている。しかし、H. pylori感染が発症に関与しないAIGにもH. pylori感染は起こりうると考えらる。一般的なH. pyloriの感染時期を考えるとAIGの病態・自然史には少なからず影響している可能性はあるが、除菌の影響も含めて不明な点が多い。そこで、AIGの病態、診療におけるH. pylori感染の影響について整理したいと考える。AIGの病理や内視鏡所見にH. pylori感染はどのように影響するのか。そして、腫瘍性病変のサーベランス、ビタミンB12や鉄欠乏に対する補充療法、橋本病等の併存疾患の管理等を行っていく際にH. pylori感染の関与の有無が影響するのか。その他、H. pyloriとAIGの関連について様々な視点からの演題を募集する。なお、演題応募に際して、AIGの診断方法、H. pylori感染(未/既/現)の診断方法については明確に示していただきたい。

H. pylori 感染と自己免疫性胃炎
司会
古田 隆久
(ふるた内科クリニック)
春藤 譲治
(医療法人誠心会 春藤内科胃腸科)

パネルディスカッション

司会のことば

近年、未成年者(中学生や高校生)を対象としたヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)感染症のスクリーニング検査と陽性者に対する除菌治療が、学校検診の一環として全国的に普及しつつある。胃粘膜萎縮が進行していない若年者において除菌治療を行うことにより、胃癌や消化性潰瘍などのピロリ菌関連疾患の発生を大いに予防できると期待されている。一方、少数ではあるがピロリ菌除菌治療後に発生した若年者胃癌の症例が報告され、また成人ではピロリ菌未感染の胃癌も起こることが知られている。胃癌以外の消化管疾患への影響も現在のところ不明である。成人、特に除菌治療が行われることが多い中高年では、除菌後も胃癌リスクが残るため1-2年毎の内視鏡検査、検診が行われている。 本パネルディスカッションでは、未成年で除菌治療を行った者に対する経過観察の方法や必要性について、具体的な症例報告や経験、地域のデータ、あるいは考察などを元に議論したい。成人例と異なり、未成年者に対する除菌治療の歴史は浅いためエビデンスとなるデータは少ないと予想されるが、現時点でのコンセンサスを得たいと考えている。地域における未成年者へのスクリーニング検査や除菌治療に携わっている地域、医師会、研究など幅広い立場からの発表を歓迎します。

ピロリ除菌治療を行った未成年者の経過観察はどうあるべきか
司会
赤松 泰次
(長野県立信州医療センター)
間部 克裕
(まべ五稜郭消化器・内視鏡クリニック)
基調講演
奥田 真珠美
(兵庫医科大学 小児科学)

パネルディスカッション

司会のことば

H. pylori感染の診断と治療のガイドラインの2024改訂版が発刊され、EBMに基づいた1次除菌治療、2次除菌治療、3次除菌治療、特殊な除菌治療時の治療指針が示された。本邦はH. pylori感染率が高く、胃がんの高い罹患率を示す代表国であったが、H. pylori除菌治療の普及と若年者でのH. pylori感染者数減少が進む現状はポストピロリ時代に突入したといっても過言ではない。しかしながら、臨床現場においては未だに除菌治療に難渋する症例も存在する。また、近年、グローバル化が更に進んで地域レベルに影響を及ぼすグローカル化が本邦においても進んできており、この点においてH. pylori感染症も例外ではない。本パネルディスカッションでは除菌治療難渋例やグローカル化への対応など、ポストピロリ時代における除菌治療の現状と今後の残された課題、その対応策を明確化すべく、多方面からの演題を募集したい。

ポストピロリ時代における除菌治療の現状と残された課題
司会
杉本 光繁
(大分大学 グローカル感染症研究センター)
正岡 建洋
(川崎市立川崎病院)
基調講演
杉本 光繁
(大分大学 グローカル感染症研究センター)

パネルディスカッション

司会のことば

今日の胃がん検診において、胃がんリスク診断は必須のものとなっている。日本ヘリコバクター学会(胃がんリスク診断に資する抗体法適正化委員会)では、画像診断と血清学的診断を基本とした胃がんリスク診断を推奨してきた。また、2022年には除菌治療の適応判定における血清抗体法の解釈についても注意勧告文書を公表した。ところが、血清抗体価測定キットが多様化し、複雑化するばかりか、検診・診療において明らかな誤使用例もみられている。本パネルディスカッションでは、現行のピロリ感染診断・胃がんリスク診断についての現状を共有し、学会勧告文書の有効性や問題点について議論を深めたい。

胃がんリスク診断、ピロリ感染診断の決定版:学会勧告文書を検証する
司会
伊藤 公訓
(広島大学病院)
福井 広一
(兵庫医科大学 消化器内科学)
追加発言
伊藤 公訓
(広島大学病院)

特別ワークショップ

特別企画ワークショップ 1

司会のことば

未成年者の胃がん予防として、中学生でピロリ菌検査と除菌治療を独自に実施する自治体が増えている。我々の2024年の調査では105自治体で実施しており、検査の対象者は年間約5万人であった。しかし、検査方法や実施時期、検査陽性者への対応は様々であり、このことが新たに検査を開始する自治体の足枷になっていると思われる。さらに、近年、中学生においても感染率は減少していることが明らかとなっており、効率の良い検査方法の選択、安全かつ確実な除菌治療法について、エビデンスに基づいた充分な議論とコンセンサスの構築が必要である。本セッションでは、いつ、どのような検査を行い、どのような除菌治療法が最適であるか、上部消化管内視鏡検査をどのようなタイミングで行うかなど、医師の立場からの演題を広く募集する。

未成年者の胃がん予防.いつ、どのように行うか 医師の立場から
司会
加藤 元嗣
(北海道対がん協会)
奥田 真珠美
(兵庫医科大学 小児科学)
基調講演
奥田 真珠美
(兵庫医科大学 小児科学)

特別企画ワークショップ 2

司会のことば

若年でのヘリコバクター・ピロリ菌の感染診断および除菌は、本人の胃がん発症リスクを大きく低下させるだけではなく、次世代への感染の伝播防止の観点からも有意義であり、施策として診断および除菌を行っている自治体は増加している。より早い時期での胃がん撲滅を考えた場合、この施策をより多くの自治体に広めていくことが肝要であるが、そのためには市民がどのように考えているのか明らかにすることは大切であり、もし不安があるようであればそのことも含めて認識することが必要である。施策の導入において行政が直面する障壁や、これまでに導入した自治体での解決法を知っておくことも大切である。このセッションでは、これまでに行われたそれぞれの地域・自治体の未成年者へのピロリ菌検診の経験、成績の報告を広く募集する。あわせて、非医療者や医療者、検診の対象となる未成年および保護者のピロリ菌検診の認識の現状の解明や、理解を促進するような取り組みについても募集する。若年でのヘリコバクターピロリ菌の診断および除菌を全国に広めるにはどのようにしていけばいのか、市民および行政の立場からの意見を聞くことで明らかにし、日本に住んでいるすべての若年者が等しくピロリ検査を受けることができ、その結果として除菌や適切なフォローが受けられるような社会の実現を目指したい。

未成年者の胃がん予防.いつ、どのように行うか 市民・行政の立場から
司会
垣内 俊彦
(佐賀大学)
水野 靖大
(マールクリニック横須賀)

ワークショップ

ワークショップ

司会のことば

Helicobacter属細菌は、胃炎や胃癌などの疾患に関与する病原菌として注目され、その研究は病原因子(CagA、VacA)や宿主因子の解析を通じて大きな進展を遂げてきた。近年では、オミックス解析や大規模ゲノム解析、幹細胞研究といった先端技術が導入され、新たな視点でのアプローチが広がっている。しかし一方で、除菌後に残る不可逆的な粘膜変化や耐性菌の蔓延、Helicobacter pylori以外の菌と疾患の関連性など、未解決の課題が数多く残されている。本ワークショップでは、菌体や宿主応答の分子メカニズム解明、除菌後の問題、宿主微生物叢や環境との相互作用に関する研究など、革新的な方法論や視点を用いたHelicobacter属細菌に関する新たな方向性を示す基礎研究を広く募集する。

Helicobacter 基礎研究の新展開
司会
米澤 英雄
(東京歯科大学 微生物学講座)
前田 慎
(横浜市立大学消化器内科)

ワークショップ

NHPH感染症 ~現状と課題
司会のことば

胃在位型ピロリ菌以外のヘリコバクター属菌(Non-Helicobacter pylori Helicobacter species:NHPH)は人獣共通感染症としてヒトに感染するが、自然宿主が豚や猿であるHelicobacter suis、また自然宿主が猫や犬であるHelicobacter heilmanniiなどにより、胃炎や胃MALTリンパ腫などの原因となりえる。また腸肝在位型Helicobacter 属菌であるHelicobacter cinaediは菌血症や感染性大動脈瘤の原因となる。これらHelicobacter 属菌は不明な点が多いが、胃在位型NHPHのわが国の感染率は3%であり、決して稀な感染症でないことが近年報告された。検査法では培養法、PCR法、ELISA法の開発が進行中であり、関連疾患、除菌法、内視鏡所見、病態に関する報告も散見されるが、一定のコンセンサスはなくエビデンスの蓄積が必要である。そこで本ワークショップではNHPH感染に関連し将来の展望につながる演題を広く公募し、本感染症の現状と課題を整理し議論したい。

司会
徳永 健吾
(杏林大学医学部予防医学)
林原 絵美子
(国立感染症研究所)

ワークショップ

司会のことば

近年のHelicobacter pylori (H. pylori)感染率の低下と除菌治療の普及によりH. pylori陰性患者が増加し、胃癌診療の中心はH. pylori現感染胃癌からH. pylori陰性胃癌へとパラダイムシフトが起こっている。H. pylori陰性胃癌としては、除菌後長期経過で発癌してくる除菌後胃癌に対する知見や、H. pylori未感染胃粘膜から発生する胃底腺型腺癌(胃底腺粘膜型腺癌),腺窩上皮型腫瘍(ラズベリー様,白色扁平隆起型),印環細胞がん,低異型度分化型腺癌などの知見も多く報告され、少しずつ整理されてきた。しかしながら、それぞれの内視鏡的特徴、臨床病理学的特徴や分類、治療適応、治癒切除基準、さらには適切な検査間隔の設定など解決すべき課題は数多く残されている。本セッションでは、これらのH. pylori陰性胃癌について多面的なアプローチからの知見を持ち寄り、課題の解明と診療へ実践するための糧となるような議論を行いたい。

Helicobacter pylori 陰性胃癌の多面的アプローチ:解明と診療への実践
司会
北條 麻理子
(順天堂大学医学部消化器内科)
布袋屋 修
(虎の門病院 消化器内科)
Helicobacter 陰性胃癌の多面的アプローチ:解明と診療への実践
基調講演
八尾 隆史
(順天堂大学大学院医学研究科人体病理病態学)

ワークショップ

司会のことば

日本ヘリコバクター学会では診療に携わる医療者のよりどころとなるべく、2016年に改訂第2版を発行した。そして、そこから新たに構築されたエビデンスをもとに2024年に改訂第3版を発行した。ヘリコバクターの診療については適応、診断、治療など様々な問題があり、それぞれについての方向性を保険診療に縛られることなく、むしろガイドラインが保険診療を先導していくことを目標とした。本セッションでは次回のガイドライン改訂に向けて、作成の礎となるような示唆に富む演題を多方面から募集する。

ガイドライン2024年改訂版の検証
司会
下山 克
(青森県総合健診センター)
半田 修
(川崎医科大学 消化器内科)
特別発言
福田 能啓
(兵庫医科大学医学部 名誉教授)

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H. pylori 除菌後胃がんのリスク因子の解明とリスク層別化へ向けて
司会
小野 尚子
(北海道大学病院 光学医療診療部)
兒玉 雅明
(大分大学医学部先進医療科学科)
共催:富士フイルム株式会社

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胃がん検診前の世代でのH. pylori 感染者の拾い上げ
司会
珍田 大輔
(弘前大学医学部附属病院 光学医療診療部)
青木 利佳
(徳島県総合健診センター)
共催:栄研化学株式会社

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