第59回日本眼炎症学会を開催させていただきます順天堂大学医学部附属浦安病院眼科の海老原伸行でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
ご存知の通り眼炎症学会の前身である日本ぶどう膜炎研究会は1976年に第1回の研究会が開催され、1991年の第20回より日本ぶどう膜炎・眼免疫研究会、1998年の第32回より日本眼炎症学会と会の呼称が変わっています。以上のような呼称の変化の背景には、眼炎症学会の主なテーマは「ぶどう膜炎」になりますが、より広義に臨床・研究面で網膜・ぶどう膜・強膜の炎症に対応する学会を目指してきたと思われます。近年の炎症に関する分子生物学的知見の集積により、ぶどう膜炎以外の網脈絡膜疾患または正常な網脈絡膜の生理的働きにも免疫細胞が深く関与していることが明らかになっています。また最近のシングルセルRNA解析では、同じ免疫系細胞でも疾患による微小環境で多様な働きをすることがわかってきました。さらに慢性炎症という概念は多くの生活習慣病の発症にも関与しています。ゆえに本学会ではより広い意味で網膜・ぶどう膜の炎症性疾患をとり上げました。シンポジウム「炎症と網膜疾患」では糖尿病網膜症、網膜色素変性、AZOOR、加齢黄斑変性の病態における炎症の関与を検討します。また合同開催する日本眼感染症学会、日本眼アレルギー学会、日本涙道・涙液学会とも、広義の炎症を共通テーマとして有機的なつながりを求めました。4学会合同シンポジウムでは、炎症と感染が関与する感染性ぶどう膜炎の最新の診断についてお話を伺います。招待講演(日本眼科アレルギー学会と合同)は、東京科学大学 総合研究院の烏山 一先生にお願いいたしました。先生は血液中の希少細胞である好塩基球が免疫・感染・アレルギーの病態に重要な役割を演じていることを世界に先がけて報告なさいました。一種の細胞がその微小環境により役割を変えていく研究の醍醐味を味わっていただきたいと思います。
難治性ぶどう膜炎は薬物療法だけでは視力回復は困難であり手術が必要です。シンポジウム「ぶどう膜炎と手術」では、硝子体手術、緑内障手術、角膜手術の適応と最新情報を伺います。一般によくぶどう膜炎の診断は難しいといわれています。多くの若い医師には画像診断(イメージング)が華やかな網膜硝子体分野が人気です。そこで教育シンポジウムとして「ぶどう膜炎の診断プロセス」を実施し、診断のコツと楽しさを伝授したいと思います。
今回は「Tetra Academic Congress in Yokohama 2026」として開催します。Tetraとはギリシャ語で「4」を、またAcademicとは古代ギリシャの哲学者プラトンが歴史上初めて主催した勉強会・研究会である「アカデメイア」よりとった言葉です。「アカデメイヤ」は出身地、身分、男女を問わず真理を共に探求する理論と実践を目指す会でした。一般的に勉強会・研究会というと、教師がいて聴講者がそれを学ぶ教育機関を想像しますが、「アカデメイア」は参加者がお互いに「対話(ディアロゴス)」することにより真理に近づくものでした。古代アテネから四千年の年月を超え、2026年の同じ港町横浜で、4学会参加者での「対話(デュアロゴス)」から新しい知識・技術の獲得に繋げれば良いと思っています。多くの皆様のご参加をお待ちしております。
ページトップへ戻る