第16回日本緩和医療薬学会年会の開催に際しまして
年会長 徳山 尚吾 (神戸学院大学 薬学部 教授)
この度「第16回日本緩和医療薬学会年会」をこの神戸の地で開催できますことをまことに光栄に存じます。
緩和医療は、がんだけではなく生命を脅かすあらゆる疾患のために苦悩する患者さんやご家族の生活の質の向上を目指すものです。本年会の母体学会である日本緩和医療薬学会は、「がん対策基本法」が設立された翌年の 2007 年に設立されました。本学会は、「日本において益々高まる緩和医療の重要性を鑑み、保険薬局薬剤師、病院 薬剤師、薬学研究者の連携強化を図り、緩和医療における薬物療法の推進と充実、さらに大学での教育研究と企業での開発・学術研究の進歩発展を目的とする。」学術団体であります。この15年間で会員数は約 4,000 名規模となり、我が国の緩和医療を牽引する組織の一つになっています。
緩和医療を取り巻く社会環境は目覚しく変化しています。「第16回日本緩和医療薬学会年会」の開催にあたり、テーマを「持続可能な発展に向けた緩和医療薬学の未来予想図を描く」とし、このテーマに沿った本年会のプログラム構築を目指しています。すなわち、本年会を通じて、これまでの既成概念を盲信することなく、緩和医療薬学における問題点や疑問点を、臨床および基礎研究による知見を持って解決し、持続可能な発展に結びつく未来予想図を描く必要性を認識して頂けますと幸いです。
本年会では、特別講演、基調講演、教育講演、年会長企画、学会企画、特別企画、委員会企画、ワークショプ、公募シンポジウム、優秀論文講演、さらには口頭とポスター発表による一般講演など、皆様の個々のニーズに合うように多くの話題提供を行う予定です。また、本会の特徴として、兵庫県病院薬剤師会、兵庫県薬剤師会からもご協力を賜りながら、年会準備、運営を行わせて頂いております。この場をお借りまして御礼致す次第です。
新型コロナウイルス感染症は未だ収束せず、社会に大きな影響を与えており、緩和医療領域においても、少なからずの混乱を引き起こしてきました。さらに、世界的な新型コロナ感染症の行く末には、これまでとは異なる緩和医療の提供体制が必要となるかもしれません。現時点では「第16回日本緩和医療薬学会年会」は、感染予防に十分に配慮しながら、4年ぶりの全面的な対面開催を予定し、年会長をはじめ本年会の関係者が総力をあげて盛り上げられますよう鋭意準備中です。
神戸はエキゾチックな雰囲気のあるエリアであり、学会以外でも、酒処、温泉、観光など大いにお楽しみいただけるものと思います。皆様におかれましては、多忙な日々をお過ごしのことと存じますが、是非神戸の地にお集まりくださりまして、本年会を盛り上げて頂くことを何卒よろしくお願い申し上げます。
末筆になりますが、日本緩和医療薬学会が、今後益々発展することを祈念しております。