第34回日本医療薬学会年会 The 34th Annual Meeting of the Japanese Society of Pharmaceutical Health Care and Sciences

会長挨拶

第34回日本医療薬学会年会
年会長 本間 真人
(筑波大学附属病院 薬剤部 教授・薬剤部長)
会長近影
 この度、第34回日本医療薬学会年会の年会長を拝命し、2024年11月2 日(土)から4 日(月・祝)までの3日間、幕張メッセ他において開催する運びとなりました。
 本年会のテーマは「未来の医療をデザインする薬学・薬剤師の視点」としました。日常生活において「デザイン」は、多くのものの中から何かを選択するときに重要な要素となります。例えばある部屋に設置する家具を選ぶとき、同じ機能であっても形や大きさ、色柄など「デザイン」の違いによって、その部屋に合う合わないがあるでしょう。また、その部屋を利用する人の好みの「デザイン」であるかどうかも重要です。日本デザイン振興会は、「デザインとは、常にヒトを中心に考え、目的を見出し、その目的を達成する計画を行い実現する一連のプロセス」と定義しています。これを医療に当てはめた場合、「患者を中心に考え、治療目標を設定し、目標を達成する治療計画を実施するプロセス」となります。このプロセスは、医療を享受する側(患者)と提供する側(医療従事者、医療産業)の双方の合意によって成り立っているように思えます。すなわち、医療提供側が良い治療であると思って勧めても、享受する患者のニーズに合っていなければ、成立し難いものであり、上記の家具選びであれば、部屋に合っていても利用する個々人の好みでない家具を選んでしまうことに例えられます。医療提供側には、患者のニーズに合った治療選択肢を開発し、提案・実践できる能力と技術が求められているのです。
 医薬品は病気の診断・治療に欠かせないものであり、医薬品を利用した治療目標の設定と、目標を達成するための適正使用の推進は、未来の医療でも変わることはないでしょう。医薬品による診断・治療をデザインする上で、「薬学・薬剤師の視点」は極めて重要です。患者の診断・治療に必要な医薬品を開発し、供給できるか?その適正使用を推進し、患者の治療目標を達成できるか?これらの命題に科学的な根拠を持って取り組むことが薬学と薬剤師の使命であると思います。本年会では、患者と医療従事者が適切な薬物治療を選択し、実践できる「未来の医療」を薬学と薬剤師の視点から討論する機会として、学会の設立趣旨に沿った種々のプログラムを組んでいく所存です。
 医療に従事する薬剤師、薬学研究者、薬学教育者、薬学生はもちろん、医薬品、医療・薬科機器、医療情報等に関わる多くの方々にご参画いただき、本年会に参加されるすべての皆様方にとって、実りある意見交換の場となりますことを心より願っております。皆様のご参加を心よりお待ち申し上げます。