この度、「第44回日本静脈学会総会」の会長を拝命し、2024年6月13日(木)~14日(金)の2日間、軽井沢プリンスホテルウエストで開催する運びとなりました。形成外科医として、そして日本を代表する高原リゾート地である軽井沢で初めて伝統ある本総会を担当させていただくことを大変光栄に存じます。
私は1988年に東京女子医科大学形成外科学教室に入局以来、一次性下肢静脈瘤の外科治療・硬化療法に始まり、下肢静脈エコー検査、空気容積脈波検査、脈管奇形の診断・治療、静脈血栓塞栓症の診断・治療、静脈血栓後症候群の診断・治療、近赤外分光装置を用いた研究など、多岐にわたる静脈疾患の診療・研究に長く携わることができました。これまで私が静脈疾患の臨床および研究を続けて来られたのは、私を支えていただいた東京女子医科大学、日本静脈学会、関連企業の皆様方のご協力があった賜物と感謝する次第です。
最近の静脈学の進歩には目覚ましいものがあり、ここ10数年で大きく変化しました。一次性下肢静脈瘤の治療は、外科的治療から血管内治療へ大きく変化し、静脈血栓塞栓症の抗凝固療法も、ワルファリンからDOACsへ急速に転換、さらに近年では第XI因子阻害薬の開発も進んでいることは周知の事実です。また慢性静脈疾患のCEAP分類におけるC0やC4cの新しい概念、骨盤内静脈疾患におけるsymptoms-varices-pathophysiology(SVP)分類等の新しい知見も生まれました。
グローバル化が進んだ現在、タイミングよくイノベーションを先導していくためには、多職種連携や異業種連携が欠かせません。そのため、本総会のテーマは、“Seamless collaboration in the fight against complex venous disorders”とさせていただきました。異なる職種および業種の人たちが一堂に集い、新しい静脈学を築いていく端緒となることを期待しております。多くの皆様の参加を期待しております。